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10年後の狂気が見たい

2012.04.04(水)

【春風亭一之輔 真打昇進披露興行】

新宿の末廣亭は、客席の両端に畳の桟敷席がある、レトロな雰囲気漂う老舗の寄席です。昨年公開された映画『落語物語』のロケにも使われた、東京の落語ファンにはお馴染みの場所。4月2日(月)、ここで春風亭一之輔さんの真打昇進披露興行を見てきました。

仲入りが終わり幕が上がると口上が始まります。司会の柳亭市馬師匠をはじめ、三遊亭圓歌、林家木久扇、春風亭一朝、春風亭小朝の各師匠に挟まれて新真打の一之輔さんが神妙な顔で控えています。口上といっても堅苦しい挨拶ではなく、落語らしいギャグを織り交ぜた楽しいものでした。中でも印象的だったのが一之輔さんの師匠・一朝さんの弟弟子にあたる小朝師匠のコメント。「一之輔は狂気を持った落語家。今はまだその狂気を隠しているが、10年ぐらい経っていろいろなものが削ぎ落とされてきたら、ものすごいことになるだろう」と言うのです。端正な顔立ちで、二男一女のパパでもある一之輔さんのどこに狂気が秘められているのか、がぜん興味が沸きました。

口上の後は漫才や落語が続き、いよいよ新真打の登場。そもそも真打とは「寄席のトリが取れる」という意味であり、披露興行のトリを務めるのが真打としての初仕事というわけです。この日の根多は『あくび指南』で、緊張も気負いもなく、それでいて適度な緊迫感のある素晴らしい高座でした。狂気と呼べるほど突き抜けたものは感じられませんでしたが、そこはまぁ、師匠やお歴々の前でもあるし、いきなりアブノーマル全開というわけにはいかないでしょう。しかし、単に落語が上手くて器用にこなすだけではない、腹の底から響いてくるような力強い感触がありました。10年後、落語界の大看板になったとき、思う存分狂気を発揮する一之輔さんを見てみたいと思います。その前に、ぜひとも札幌で独演会を開いてほしいですね。(Report:きょとね)

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